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多飲多尿について

2011.05.04


よく水を飲むようになったり、大量の薄いおしっこをするなんて症状はもしかすると何か隠れた病気の兆候かもしれません。今回は多飲多尿疾患についてお話します。

多飲ってどのくらい?
まずは1日の飲水量の測定を行ってください。水入れを一旦空にして500ccのペットボトルに汲んでおいた水を入れていって、朝7時から翌日7時までといった24時間で何㏄飲んだかを計測してください。それを動物の体重(Kg)で割って体重1Kg当たり、犬で90cc以上、猫で50cc以上飲んでいるようであれば「多飲」であると言えるでしょう。

多尿ってどのくらい?
 飲水量のチェックで「多飲」が認められるようなら、通常は多尿が原因です。何かの原因で薄い尿しか作れなくなってその結果脱水してのどが渇いていると考えられます。一日の尿量を調べることは実際には無理なのでまずは尿検査が必須です。
尿検査項目
• 尿比重:正常は犬で1.030以上、猫で1.035以上です。比重が低下していれば多尿と判断します。腎臓がろ過したばかりの尿を原尿といいますが、その比重は1.008~1.012です。この比重の尿を等張尿と言い、まったく濃縮されていない状態であると言えます。
• 尿蛋白:正常は(-)です。腎臓疾患、尿路感染などで陽性となります。非常に高ければ尿中蛋白クレアチニン比(UPC)を測定します。正常は<0.4です。
• 尿糖:正常は(-)です。糖尿病、腎臓疾患などで陽性となります。
• 尿沈渣:結晶、細菌などを確認します。細菌が多数認められれば尿の培養も行います。

考えられる病気
• 尿崩症
• 糖尿病
• 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群) (図1)
• 副腎皮質機能低下症(アジソン病)
• 甲状腺機能亢進症(特に猫)
• 腎盂腎炎
• 慢性腎不全
• 慢性肝臓疾患
• 子宮蓄膿症(図2)
• 高カルシウム血症(上皮小体機能亢進症(図3)、悪性腫瘍など)
• 低カリウム血症
• 心因性多渇
• その他、閉塞後利尿、利尿剤やステロイド剤などの薬剤使用など

図1 副腎皮質機能亢進症
図2 子宮蓄膿症(左が正常、右が子宮蓄膿症の子宮)
図3 上皮小体機能亢進症(腫瘍化した上皮小体)

血液検査項目(マーカー)
血球数算定(CBC)、CRP(犬):感染症、脱水、子宮蓄膿症
血糖値(Glu)コレステロール(T-cho):糖尿病、クッシング症候群
カルシウム(Ca):高カルシウム血症、アジソン病
肝酵素(GOT、GPT、ALP):肝臓疾患、胆管疾患、クッシング症候群
腎数値(BUN、CRE、IP):腎臓疾患
電解質(Na、K、Cl):低カリウム血症、腎臓疾患、アジソン病
甲状腺ホルモン(T4):甲状腺機能亢進症(特に猫)、

その他の検査
上記の検査で異常が認められない場合は、尿崩症の可能性があるので飲水制限試験(尿濃縮試験)を行います。他に血液検査で異常が認められない多飲多尿としては、若い犬の心因性多渇や年寄り犬の初期の腎臓疾患、非典型的クッシング症候群などがあります。

多飲多尿は上記のように割と重篤な疾患の可能性があります。よくおしっこをするからといって飲み水を制限するようなことをすると一気に症状が悪化します。水を飲みすぎておしっこをするわけではないことを十分に理解してあげてください。

 

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