愛知県刈谷市の小笠原動物病院。犬・猫を中心とした予防や手術。

小笠原動物病院 - 小笠原動物病院通信

誤飲・誤食について

犬が何かくわえて遊んでいる。間違って飲み込んだら大変!「だめ!出しなさい!」なんて声をかけたらアララ飲み込んじゃった、どうしよう!こんな経験がある人、結構多いんじゃないでしょうか?誤飲・誤食はよく遭遇する事故ですが、飲み込んだことに気付かないケースの方が多く、またレントゲンにも写らないものがほとんどで診断に苦慮する疾患の1つです。今回はそういった誤飲・誤食についてお話しましょう。

 

誤飲・誤食した時の症状
(1)気道閉塞
最も致命的なのがこれです。カレーライスのブロック肉、骨の形をした犬のガムの結び目のところなど丸くて飲み込めない大きさのものが咽喉の奥に引っかかって気道をぴったり塞いでしまった状態です。胸を押して吐き出させるか、逆に先の丸い棒などで一時的にもっと奥に押し込んでしまうかしないと病院に来る前に窒息死してしまいます。
(2)食道梗塞
 ノドを通過しても胸部食道を通過できずに閉塞してしまった場合です。犬のガム、りんご、芋、大きな肉、魚の骨などがよく詰まります。何度も吐くしぐさをしながら何も出ず、よだれをたらして苦しそうにします。麻酔下で内視鏡による摘出を行う(図)か、食べ物であれば胃の中に押し込みます。

(3) 胃内異物
 慢性胃炎のようによく嘔吐をするだけの症状が多く、バリウム造影検査をして発見されたり、いつ食べたかわからないようなものが偶然レントゲンに写ったりすることがあります。内視鏡で摘出できるものもありますが、よく飲み込めたなぁと思うような大きさのボールやぬいぐるみなど内視鏡でも摘出できない場合などは胃切開手術が必要となります。
(4) 腸閉塞
 誤飲・誤食したことに気づかず、異物が胃を通過して小腸に詰まってしまった場合です。食欲の廃絶と激しい嘔吐、腹痛を生じます。スーパーボールや梅干などの種(図1、図2)、子供のおもちゃなどが詰まりやすく、

 

中でもヒモ状の異物は腸管をギャザー状にたぐってしまい、広範囲の腸管に裂傷を引き起こすため(図3、図4)速やかな手術が必要です。
(5)腸管の裂開、穿孔
 尖った骨や竹串などは腸管を突き破ってしまい(図5)、腹膜炎を起こします。激しい痛みだけでなく、命の危険もあります。緊急の手術が必要です。

 

誤飲・誤食したときの応急処置
• 飲み込んですぐであれば吐かせることができることもあります。大量のチョコレートや梅干の種、ラップなどはオキシドールを3倍程度に薄めたものを20佞らい飲ませると吐き出すことがあります。大量の水や食塩水などは吐き出さなかったときに水中毒や塩中毒など命に関わる重篤な障害を引き起こす可能性があるので決してやってはいけません。
• 何もしない
乾燥剤のシリカゲル、少量のタバコの吸殻、ゴキブリ団子などは中毒性が低いので無理に吐かせるより何もしないほうが賢明です。
• すぐに病院へ
人間用の薬、殺虫剤、骨や串のような尖ったもの、ぬいぐるみの綿やスポンジ、タオルの切れ端などの紐状のものなどはまず吐かせることができません。病院へ直行です。

 

異物の誤飲・誤食は1歳齢以下の犬や45日齢以下で母親から引き離された猫、普段から新聞紙やペットシーツなどをビリビリにしてしまうような活発な犬などで多く起こります。当院では梅干や桃の種、トウモロコシの芯、タオルの切れ端、スーパーボール、パチンコ玉、小さいぬいぐるみなどが多いです。猫が縫い針を飲み込んでしまったケースを5例ほど経験していますが、不思議なことに全て便とともに出てきました。あんな尖ったものがどこにも刺さらずによく通過するものだと生命の神秘に感心します。余談ですが、1万円札を9枚も飲み込んでしまった犬もいました。別の意味で飼い主さんは大慌て。何とか吐き出させましたが、2枚は帰ってきませんでした…(泣)。

誤飲・誤食を発見した場合は、まずご連絡ください。吐き出させようとすることでかえって状態を悪化させることもあります。素人判断は危険なことがありますのでまずは電話でご相談くださいね。